社会福祉研究交流集会
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第10回社会福祉研究交流集会in長野

全体テーマ「憲法に根ざした社会福祉の流れを地域から」
日程:2004年8月28日(土)12時受付〜29日(日)15時半終了

会場:長野大学(長野県上田市/長野新幹線「上田」駅で上田交通別所線に乗り換え「大学前」駅下車)

主催:第10回社会福祉研究交流集会実行委員会(実行委員長 安井幸次長野大学産業社会学部教授)
後援:国民医療研究所・保育研究所・自治体問題研究所

開催要綱ダウンロード版(PDF864KB) (Word58KB)

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ごあいさつ

大量の企業倒産と雇用不安、リストラ、サラリーマンの自殺、児童虐待、高齢者の餓死・孤独死、ホームレス問題など、深刻な失業と貧困問題が国民生活を直撃しています。しかし政府は、年金改悪や医療費負担増など社会保障制度を後退させ、また、支援費制度と介護保険との統合なども今後予定されており、国民生活をいっそう不安定にさせると予想されます。
今回の社会福祉研究交流集会では、「憲法に根ざした社会福祉の流れを地域から」をテーマに、一人でも多くの方にご参加いただき、全国の先進的な実践と長野の住民運動ならびに関係諸団体の社会福祉活動・運動に学びあいながら、研究・討議をする予定です。
長野の地でお会いしましょう。
   第10回社会福祉研究交流集会実行委員会
             代表呼びかけ人 小川政亮・真田是・高島進・相澤與一
             実行委員長   安井幸次

日程

※※【8月28日(土)】※※

●記念シンポジウム「憲法に根ざした社会福祉の流れを地域から」<13時半〜17時半>

 コーディネーター 安井幸次さん(長野大学教授)
 シンポジスト 高橋彦芳さん(栄村村長)「一人ひとりが輝く村づくりを模索して」
        松島貞治さん(泰阜村村長)「『安心』の村は自律の村」
        牧野忠康さん(日本福祉大学教授)「社会福祉の構造改革と健康地域づくり」

自衛隊のイラク派兵や有事法制の制定にみられる軍事大国への動き、年金制度改悪や福祉の民営化・市場化を一層推進する社会福祉「構造改革」、市町村合併をテコとした自治体の再編などの動きは、憲法に基づく日本の社会と国民の生活を大きく揺るがせています。
このような状況の下で、第10回の節目となる研究集会を長野の地で開催するにあたり、社会福祉「構造改革」と市町村合併・自治体再編とを結びつけて考えるシンポジウムを企画しました。住民の生命と暮らしを守る自治組織という地方自治体の原点に立って、自立(自律)の村づくりを実践されている二人の村長さんの報告を軸に、「憲法に根ざした社会福祉の流れを地域から」創り上げていく道筋を考えていきたいと思います。

●懇親会<大学食堂にて><18時〜20時>


※※【8月29日(日)】※※

●分科会・市民講座<9時半〜14時半>
 ※詳細は下記をご覧下さい。

分科会・市民講座は同じ時間帯に行います。@〜Eの分科会、T・Uの市民講座から一つ選んでご参加下さい。

分科会
@地域から失業・貧困問題に抗して………………コーディネーター 杉村 宏さん(法政大学)
A介護保障の課題と提案……………………………コーディネーター 宮崎牧子さん(大正大学)
B地域から子育て支援のあり方を問う……………コーディネーター 石原剛志さん(長野大学)
C支援費制度実施一年と介護保険との統合問題…コーディネーター 植田 章さん(佛教大学)
D医療と福祉のネットワーク………………………コーディネーター 横山寿一さん(金沢大学)
E住民参加の地域福祉計画づくり…………………コーディネーター 依田発夫さん(長野大学)
市民講座
T 基礎から学ぶ市町村合併問題………………講師 池上洋通さん(自治体問題研究所)
U 基礎から学ぶ年金問題………………………講師 公文昭夫さん(年金実務センター)

●全体会のまとめ<14時45分〜15時半>

■ 分科会・市民講座<8月29日(日)9時半〜14時半>のねらい・内容 ■

◇分科会◇

1 地域から失業・貧困問題に抗して……………コーディネーター  杉村 宏さん(法政大学)

【ねらい】長引く不況、雇用の流動化は、多くの労働者を雇用から排除し、失業者と労働者・勤労市民の生活の不安定化を増大させながら、地域社会に矛盾を蓄積させてきています。さらにこのような状況の下で機能すべき、社会的セーフティネットとしての社会保障・社会福祉からも排除される人々の問題も深刻になっています。社会保障の根幹を担う生活保護制度をはじめとする諸制度を、失業と貧困問題の解決をめざすものに再構成するために地域で何ができるのか、何をしなければならないのかをともに考えたいと思います。

【報告テーマ・報告者】
★「長野県の受診抑制の現状と受療権を進める取り組み(仮題)」赤坂律子さん(長野県民医連医療ソーシャルワーカー委員長)
★「生活保護裁判が問うセーフティネットのあり方(仮題)」吉永純さん(全国公的扶助研究会)
★「若者の不安定雇用の現状(仮題)」松丸和夫さん(中央大学教授)

2 介護保障の課題と提案…………………………コーディネーター  宮崎牧子さん(大正大学)

【ねらい】介護保険法は制定から5年後の2005年度に見直しを定めています。厚生労働省は「順調に推移している」としていますが、多くの高齢者が保険料負担、利用者負担に耐えかね悲鳴をあげています。特別養護老人ホーム入所待機者は23万人にもなっています。職員の労働強化とパート化など身分の不安定化と低賃金化がすすみ、深刻な実態です。現在、現行の保険料徴収40歳以上を「20歳以上」にする、支援費制度と統合するなど他方面から検討されていますが、「見直し」は負担増ではなく、問題点を改善するものでなければなりません。分科会では見直しの課題と運動の方向性を考えていきます。

【報告テーマ・報告者】
★「介護保険制度の改革案と今後の課題(仮題)」伊藤周平さん(鹿児島大学教授)
★「女性が創り出した地域のネットワーク」菊池智子さん(前・南牧村社会福祉協議会事務局長)
★「介護保障改善運動と住民自治−自治体への改善運動を中心に−」小林幹彦さん(長野県上伊那社保協事務局長)

3 地域から子育て支援のあり方を問う…………コーディネーター  石原剛志さん(長野大学)

【ねらい】子ども虐待相談件数の上昇、子育ての孤立化と不安定化、子どもの世界への「暴力」の浸透、止まらない出生率の低下、子育て・子育ちをめぐる困難な状況を目の前にして、あらためて子育て支援のあり方が問われています。昨年、立法化された少子化対策・次世代育成関連法も、こうした状況への危機意識を反映したものであるとはいえ人口政策としての性格が濃厚で生存権保障の視点は薄く、また改正児童虐待防止法も公的サービスの拡充の視点は弱いままです。親や子どもたちが本当に求めている支援を地域・自治体でつくっていくために、この分科会では、近年の政策動向をふまえつつ、あらためて保育現場や子育てをしている親の視点から求められる子育て支援のあり方を問い、地域における実践や地道な取り組みのなかから展望を見出す努力をしてみたいと思います。

【報告テーマ・報告者】
★「保育所における子育て支援センターの実践から」岡田富子さん(長野市・かざぐるま保育園主任)
★「児童相談所から見た子育ての現在」児玉典子さん(長野県松本児童相談所所長)
★「学童保育がつくる共同の子育て」田嶋みどりさん(松本市開明学童クラブ指導員)

4 支援費制度実施一年と介護保険との統合問題……コーディネーター  植田 章さん(佛教大学)

【ねらい】支援費制度が始まり1年が過ぎました。「新しい制度ができて、生活できない障害者の仲間が増えてきている」こんな不合理なことはありません。申請もできずに制度の谷間にある障害者はたくさんいます。ホームヘルパーの上限問題やケアマネジメントの未確立の問題はますます深刻化しています。「国は障害者の仲間を共同作業所から追い出すのか」という怒りの声が広がっています。問題だらけの支援費制度です。介護保険と支援費統合問題が改めて浮上している今こそ、障害者の仲間一人一人の生活と権利を守る運動を地域のなかで進めていく必要があります。また、障害者の問題を新たな視点で国民に広げていく機会へと発展させる必要があります。分科会では各地からの実践交流を中心に議論を深めていきます。

【報告テーマ・報告者】
★「支援費制度のこの一年を振り返る」平野方紹さん(日本社会事業大学助教授)
★「地域生活支援の現状と課題−障害者の地域でのくらしを支える制度に−」松丸道男さん(長野県障害者運動推進協議会事務局次長)
★「介護保険との統合問題をめぐって」井上泰司さん(大阪障連協常任幹事)

5 医療と福祉のネットワーク………………………コーディネーター  横山寿一さん(金沢大学)

【ねらい】小泉政権の進める社会保障構造改革のもとで医療・福祉の制度改悪が相次ぎ、国民のいのちと暮らしに深刻な影響が広がっています。見通しが持てないなかでの高齢化・少子化の進行が、国民の不安を一層掻き立てています。同時に、安心して住み続けることができる地域づくりをめざして、制度の枠を超えた共同の取り組みが各地で繰り広げられ発展してきています。分科会では、各地の実践事例を交流しながら、医療と福祉のネットワークをどのように強めていくか、取り組みの進め方や政策的な課題も含めて話し合います。

【報告テーマ・報告者】
★「在宅酸素療法患者の受診継続をめぐる県への取り組み(仮題)」武藤沢さん(松本協立病院事務次長)
★「健康づくりと地域のネットワーク−保健・医療・福祉の連携−(仮題)」市川英彦さん(JA長野厚生連鹿教湯病院名誉院長)
★「福祉医療費助成制度を守った地域共同の取り組み(仮題)」吉田修さん(富山の医療と福祉と年金をよくする会事務局長)

6 住民参加の地域福祉計画づくり…………………コーディネーター  依田発夫さん(長野大学)

【ねらい】「地域福祉を住民参加で」がスローガンとなっています。そのスローガン化の中で、わたしたちが見落してはならないことは、臨調「行革」実行路線上の行政では担えない課題を「住民参加」とする政府の意図です。その対抗軸として、今、わたしたちに求められているのは住民の主体形成による「自治」を実現することです。分科会は「自治型地域福祉」をテーマに各地の報告によって深めていきます。

【報告テーマ・報告者】
★「地域から変わる松本の福祉−地区福祉ひろばのとりくみから−」古畑 斉さん(松本市健康福祉部福祉計画課課長補佐)
★「地域の要求から生まれた特養建設運動」福沢宏敦さん(飯田市特別養護老人ホームゆいの里専務)
★「私たちの望む地域福祉−非営利・協同の地域づくり−」矢田和雄さん(NPO特定非営利活動法人中野ふくし倶楽部副理事長)

◇市民講座◇

T 基礎から学ぶ市町村合併問題………講師 池上洋通さん(自治体問題研究所主任研究員)

政府は地方分権の名の下に税源移譲や補助金の削減、地方交付税の見直しを中身とする「三位一体の改革」を推進しています。しかし、肝心の税源移譲は具体化されていません。一方で分権に逆行する形で、全国各地で市町村合併が半ば強制的に行われており、昨年11月に出された地方制度調査会最終答申はそれに拍車をかけるものとなっています。とくに小規模の自治体では、「合併しないと地方交付税が削減されるのではないか」という不安から、合併特例法の期限までに合併しようとするいわゆる「駆け込み合併」の動きが広がっています。またこの間、市町村合併特例新法など新たな法律が成立し都道府県知事に合併推進の根拠を与えるものとなっています。そこで、講座では(1)この間の市町村合併の特徴・問題点とそのねらい、(2)地方自治の観点から真の分権とは何か、それを実現するための課題などを基礎から学びます。

U 基礎から学ぶ年金問題………………講師 公文昭夫さん(年金実務センター代表)

保険料大幅引き上げ・給付大幅引き下げ、消費税増税を基本とする「年金総改悪法」が政府・与党の強行採決によって成立しました。ここ数年国民年金制度の「空洞化」が問題視され、公的年金制度の揺らぎが深刻になっています。この度の改悪はその本質的な問題点には手をつけず、もっぱら保険料の引き上げと給付切り下げ、未納者への取り締まりの強化を行うものです。そこで、講座では、(1)成立した改悪法が私たちの年金制度、老後生活にどのような影響を与えるのか。(2)現行の年金制度の問題点と改善課題、(3)全日本年金者組合等が提唱する最低保障年金の創設とその内容、提案の意義・運動の展望について基礎から学びます。

 

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