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福祉のひろば 2023年10月号商品コード:hiroba-202310

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特集 障害者の「65歳問題」が問いかけるもの

浅田訴訟はじめ、全国的な障害者運動のなかで、厚労省は全国の自治体に対して、介護保険の支給量・内容では十分なサービスが受けられない場合は、障害福祉サービスも支給するよう柔軟に対応を、と通知を出しています。いっぽうで、「介護保険優先原則」そのものを変えようとはしていません。自治体職員の立場から今号に登場してくださった二見清一さんは、そうした厚労省の態度を「二枚舌」だと断じています。

「六五歳になったら介護保険を申請するのがとうぜんという雰囲気」が福祉現場のなかにも蔓延していると言う相談支援員のお話には、「日本の社会保障は保険(共助)が優先」とする国の方針が、福祉現場にまで浸透してしまっている危機感をもたずにはいられません。その背景には、障害福祉サービスと介護保険サービスにおける国庫負担の割合、訪問介護の報酬単価に差をつけ「介護保険優先」となるよう国が、意図的に誘導している実態があります。そうして、本来は「障害のある人の人権とあたりまえの生活を守る」という同じ立場にいるはずの当事者と支援者を分断させ、当事者に「あきらめ」を強いていくという構図が見えてきます。

障害者の六五歳問題」は、障害福祉と介護保険のサービス内容が大きく異なっていることによって起きる問題です。その溝は、介護保険制度が改悪されればされるほど広がっていきます。相談支援員と当事者の方が何度も語られた、「制度に生活を合わせることがどんどんあたりまえになっている」という問題は、まさに介護保険制度の問題です。「障害者の六五歳問題」は障害者だけの問題ではなく、日本の社会保障・社会福祉のあり方そのものを問うていることを、あらためて考えたいと思います。_(編集主任 申 佳弥)

【ひろばトーク】

格差社会へのささやかな抵抗 三浦 清忠

●特集● 障害者の「65歳問題」が問いかけるもの

そもそも「65歳問題」とはなにか 二見 清一

当事者と支援者を分断させるしくみ─相談支援事業所に聞く

「65歳問題」を解決するための運動課題 家平  悟

制度は生活をおぎなうためにあるもの 上野 眞治

私の生活は私が守る 中村 啓子

浅田訴訟と天海訴訟から考える 山﨑 光弘

●トピックス● 

〈公開シンポ〉当事者から学ぶひきこもりリカバリー過程

第10回釜ヶ崎のまち短期留学
──釜ヶ崎で考える女性と子どもの暮らし

●連載●

★新連載★世界と交流する平和の船に乗ってみた!
第1回 ボンボヤージュ! 世界 根津真澄+オット

WORK WORK──わくワク──
 スッキリとした香り高い本物のコーヒーがここにある 叶夢

婦人保護運動のこれまでとこれから(7)
 婦人保護施設の歩みから 辿り着いた新法 横田千代子

ケア労働処遇改善キャンペーン!⑮
 健康で文化的な最低限度の生活を保障するために 温井 秀典 58

JОB&ACTION 全国福祉保育労働組合(31)
 「個人の尊重」と「基本的人権の保障」を運動の柱に

私の履歴書 社会福祉経営全国会議(31)
 人々がしあわせになるための仕事 丹下由紀子

阿修羅がゆく わたしが好きな釜ヶ崎(51) 水野阿修羅

相談室の窓から
 T男さんが感じる福祉と成果主義の矛盾 青木 道忠

育つ風景
 第55回全国保育団体合同研究集会in磐梯熱海 清水 玲子

映画案内 『東京物語』 吉村 英夫

現代の貧困を訪ねて 生田 武志
 『いつか空の下で さくら小ヒカリ新聞』

似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート
 似顔絵は風刺の武器なのじゃ!  ラッキー植松

ホームレスから日本を見れば  ありむら潜

花咲け! 男やもめ 川口モトコ

みんなのポスト/福祉の動き/今月の本棚

●グラビア● この家で暮らしつづけたい
──37年間、ともに暮らしてきた眞里雄さんと学生介助者──

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