社会福祉研究交流集会
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第5回社会福祉研究交流集会第2分科会報告
「子どもの痛み」と「社会の歪み」
−子どもの権利条約の視点から−
増山均(日本福祉大学)
パプルの崩壊と社会病理の噴出
*“子ともの事件”の推移の中で 『子ども白書』編集長として
95 いじめ社会を読み解く−子どもにとって戦後50年は何だったのか
96 「自分づくり」の危機−奪われる子ども期
97 子ども政策の現在と未来−子どもの自由と民主主義
98 「揺れる社会」と「子どもの事件」からの問いかけ
99 “性”と子どもの人権
*<神戸小学生殺害事件>の衝撃
事件の異常さ 同じような意識・不安の広がり
マスコミの人権認識の薄さ(推定無罪の原則の否定)
意詩操作にかかっている国民(川田龍平コメント)
難しい・分からないことだらけ
「14歳の少年」・「犯行声明文」が結び付かない
二 “豊かな国”日本社会における子ども期の喪失・・市民・NGO報告書づくり
*<自分づくり・仲間づくり・生きがいづくり>の困難
「安心・自信・希望」の衰弱
「不安・不信・失望」の増大
*「揺れる社会」と<子ども期>の権利喪失の6つの要因
1)社会構造の問題
2)学校教育のシステムの問題
3)家庭・家族の問題
4)地域社会の問題
5)文化メデイアの問題
6)子ども自身の発達の問題
三 楽しくない子育て<不安と競争の子育て>という社会病理のひろがり
子育て国際比較
親たちの悲鳴・SOS 育児砂漠・育児ノイローゼ・児童虐待
教師たちの悲鳴・SOS 教師のバーンアウト
子どもたちの悲鳴・SOS <中学生>泣きたいほど素敵な時間
<小学生>平凡がボクにとっては楽しい日
時計の針が走るように進む
<乳幼児>『2歳で本が読める』
四. 日本社会のシステム・空気がおかしい
日本の子どもと大人の生活
子ども<子どもの時間・自律的生活の剥奪、子ども時代の剥奪>
おとな<労働に追われ、商売に明け暮れ、子育てに苦しむ>
ヨーロッパからのメッセージ
豊がさのある暮らしとは
時間の動き方の違い、ゆとりある生活(1日・1週間・1年)
…散歩を楽しむ(どこにでもある溜まり場、並木道、広場、コミュニティ)
…やさしさとユーモアのある人間関係
…ハップニングを楽しめるゆとり
…バカンスする能力・内面的な想像力
<生活を楽しみ、芸術に親しみ、子育てを楽しむ>
『ゆとり・楽しみ・アニマシオン』
五.日本の社会・教育を見直す視点……「子どもの権利条約」「国連勧告」の精神
1)地域社会での市民生活・住民生活の獲得
「市民としての3つの義務」(『豊かさの陰に』佐高信)
〈子ども〉異年齢集団の遊び、青年・おとなとのかかわり
子どもの出番、通過儀礼、地域の教育力
2)自由時間・余暇の獲得
ストレス・競争的教育システムの克服
「経済効率・教育投資」の視点から、無駄・無為と見るのでなく
想像力・文化創造の豊かな土壌づくり、人間の成長の基盤としてとらえる
3)<子どもの居場所>づくりと<子ども期>の権利保障
<子どもの居場所>とは何か
@のよりどころ 解放感・安心(居心地のよさ・ホッとする・癒される)
A心のつながり 連帯感・自信(出番・役割・当てにされる・期待される)
B心のはり 充実感・希望(夢・生きがい・目標・理想・価値)
4)生活・文化・教育の協同の創造
暮らし・子育てのオールタナティブ・子育てネットワークづくり
NGO・NPOとのパートナーシップの確立を
子どもと人権
田中宏明
不登校児問題への取り組み
[I]不登校の子どもたち
不登校に陥った子は、いくつかの症状を呈する。それは類型し難く複雑な要素を含んでいる。仮に私なりに関わった子の状況を整理して考えてみる。
(1)怠学と無気力
努力は続かず、約束はなかなか守られない。俺はだめだ、と落ち込んでしまう。
そして自己を責め苦しみ他者との関係性を喪失して行ってしまう。
行動として非行に走る子もいる。
無関心・無言の世界に入り込む子もいる。
(2)低学力−「学ぶ世界」を失っている
ていねいに指導すれば分かる子も低学力に悩み、あまりにも大きな学びの壁にたじろいでいる。
(3)情緒不安と体の不調を訴える。
・家族関係に悩む。家族の重圧から逃れられず、自分を見失っている。
そして不登校に陥る直接の原因・きっかけは、いじめ、喧嘩、耐えられぬ叱責を受けた、特定の教科・行事など・本人にとって耐え難いことであった。
ある子供との出会い・初対面の記録から『H(男)の現状に対して何も言えなくなってしまう自分に気づく。(彼と話す
とき自分の言葉の空しさを感じる)
彼はどれだけ眠っても眠い。毎日の生活に時間的なリズムもない。ただ、時の経過と共に時間を費やしている。その瞬間々々に興味があれぱそのことに興ずるし、次の瞬間には別の関心に移っている。単発の出来事が切れ切れにつながるだけで一日の時間を埋め尽くしているようである。何かに取り組む緊張には体自身が耐えられない。わずかに残っている心の柔軟さで与えられた学習課題(計算問題数題)をやるだけで、10分もすると体から崩れていってソファーで横になり、いつしか眠ってしまう。覚醒と睡眠の間を浮遊しているようである。』
[U]生活者としての主体性を取り戻すこと
不登校生の陥っている心理的な問題
孤独感をもち、思考はぐるぐる舞をし、時にはあきらめをもっている。
また、思考を停止することによって耐えている。
子どもは教育の対象者、指導の対象者と見るのではなく、現実を生きる生活の主体者と見て行くこと。そして子供達に学んでほしいことは
1、生きることのすばらしさ、難しさ、おもしろさなど、自ら「生きることを問う」ことが出来ること。
2、共同の世界を知ること。
他者との関わり方、親密な関係をどう築くかを学ぶ。
3、認識の世界を広げる。
学ぶことの意味知り、真理探究の目を育てる。
[V]何をどう取り組んで行けばいいのか。
子どもの現状で、その子の何に依拠していけるのか、検討。
Kは突然母親と一緒にセンターへやって来た。学校へ行けない。本人や母親がそれぞれの不安を抱きながら以前から顔見知りであった私の所(センター)へ来たのである。
Kは一気にあったことをしゃべりまくる。
・部活で疲れたこと、
・先生は真剣に関わってくれなくて自分に押し付ける、
・子供同士の中に荒れがあるが、先生は関わってくれない、
・友達3人の関係で自分は弾き飛ばされている、
・自分は引っ込み思案な方である、
・先週1週間、おじいちゃんの所へ行って学校を休んだ、おじいちゃんは一言もそのことを聞かなかった、
・おじいちゃんの所で元気になって学校へ行こうと思って朝目が覚める前、「おまえなんか、学校へくるな。」と言う声がして責められている夢を見た、学校へ行こうという気持ちが辛い、
・高校へ進学しなければならないのに、こんなことではどうなるのだろう、
外的刺激を遮断できないほど、神経を疲れさせている。
そして外的刺激を自己の中で浄化できない程になっている。
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