社会福祉研究交流集会
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第12回社会福祉研究交流集会in京都 |
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全体テーマ
「格差拡大社会にどう立ち向かうのか〜権利と共同で再生する社会福祉〜」
日程 | 2006年9月9日(土)13時開会〜10日(日)16時終了 |
主催: | 第12回社会福祉研究交流集会実行委員会 |
後援: | 社会福祉法人京都府社会福祉協議会・社会福祉法人京都市社会福祉協議会・社会福祉法人読売光と愛の事業団大阪支部・NHK厚生文化事業団近畿支局・自治体問題研究所・保育研究所・全国障害者問題研究会・全国老人福祉問題研究会・財団法人京都新聞社会福祉事業団・京都社会福祉士会・京都府介護福祉士会・社団法人認知症の人と家族の会・京都生活協同組合・きょうされん京都支部・京都府社会保障推進協議会・社会福祉法人七野会(順不同) |
職場・家庭・教育・地域等、あらゆる場において「勝ち組」と「負け組」の格差が顕著になってきています。次世代を担う若者達の中に、教育機関にも属さず、職ももたず、職業訓練も受けていない膨大なニートが存在している背景には、非正規雇用の一般化等労働条件の悪化だけでなく、貧困の連鎖を断ち切ることができない社会全体の歪みがあるのです。多くの可能性を秘めた若者達が「働けない」現代の日本社会は、まさに危機的状態にあるといえるでしょう。
また、社会保障・社会福祉の「基礎構造改革」により、年金・医療は後退し、介護保険の「見直し」、障害者自立支援法の導入等が推し進められ、一部の富裕者はともかくも、多くの国民の負担は益々増加し、暮らしは脅かされ、将来への不安ばかりがかきたてられています。
そこで、今回の社会福祉研究交流集会においては、「格差拡大社会にどう立ち向かうのか〜権利と共同で再生する社会福祉〜」をテーマに設定し、全国の先進的な活動・実践報告から学びあい、国民の人権を保障し、不当な格差を是正する本来の社会保障・社会福祉の大切な機能を取り戻すためにはどうすればいいのかについて、幅広い議論を展開したいと考えています。
社会福祉の専門職・利用者・市民・研究者が一同に会し、専門領域をこえて総合的・横断的に研究交流する中で、これからの社会福祉のあり方を大いに学びあいましょう。全国のみなさまのご参加を心よりお待ち申し上げております。
第12回社会福祉研究交流集会実行委員会
実行委員長 廣末利弥
第1分科会
*第1分科会 *構造改革がもたらした貧困・格差―新しい国民生活の再構築― 【ねらい】現在の構造改革は、規制緩和策と市場原理の導入を進めています。この結果、わが国は、富める者と貧しい者との二極分化が拡大し「格差社会」と呼ばれる状況が生まれています。このような状況を打開するために、貧困に苦しむ人達を支援する運動は、新しいナショナルミニマムづくりや具体的な生活問題の解決等に取り組み、大きな期待と責任を担っています。これらの運動に学び、自らの職場での実践課題を明らかにすることを目的として経験交流を図ります。 ■コメンテーター 大友信勝さん(龍谷大学教授) ★基調報告 「構造改革がもたらした貧困・格差―新しい国民生活の再構築―」 金澤誠一さん(佛教大学教授) ★報告テーマ・報告者 「生存権(老齢加算・母子加算削減取消請求)訴訟」運動について 高橋瞬作さん(全京都生活と健康を守る会連合会事務局長) 松島松太郎さん(生存権裁判原告) 「医療現場で起こっている問題について」 中野加奈子さん(元 合志病院MSW) 「最低生計費試算」の取り組みについて 辻昌秀さん(京都地方労働組合総評議会副議長) 「北九州市で相次ぐ生活保護申請拒絶による『孤独死』事件について」 藤藪貴治さん(北九州市職員労働組合) |
第2分科会 *介護保険制度の「見直し」後の現状と今後の実践のあり方について 【ねらい】 介護保険制度の「見直し」後4ヶ月経って、当事者(家族含む)、労働者、事業体の3分野の現状と課題を検討します。当事者、労働者、事業体は、全て地域にあります。サービスや家族の介護力だけでは、在宅介護は維持できません。地域の力が必要です。そこで、3分野の地域における実践課題を明らかにし、今後の協働のあり方を検討していきたいと思います。また、協働に欠かせない労働者の横のつながり(連帯・仲間づくり)が模索できればと考えています。 ■コーディネーター 石田一紀さん(京都女子大学教授) ★基調報告 「介護保険制度『見直し』後の現状と今後の実践のあり方について ―高齢者の生活問題の深刻化に焦点を当てて─」 小川栄二さん(立命館大学産業社会部人間福祉学科教授) ★報告テーマ・報告者 「地域ケアの本格展開を目指して」 羽賀 進さん(東高瀬川センター施設長) 「地域包括支援センターができること」 松尾勝弘さん(京都市成逸地域包括支援センター長) 「それなりに目指したいこと―利用者家族のひとりとして―」 梶 宏さん(NPO法人きょうと介護保険にかかわる会理事長) 「求められる資質に対する現状と課題」 幸 暁子さん(特別養護老人ホーム原谷こぶしの里部長) 「あらゆる制度の活用可能性について研究・検討し総合的な負担軽減支援を」 凪 康裕さん(社会福祉法人秋篠茜会) |
第3分科会 *「自立への障壁=障害者自立支援法」と障害者の人権 【ねらい】 障害者自立支援法の施行により応益負担が導入され、利用者・家族は経済的負担が拡大し、将来への不安も大きくなっています。利用者・家族が負担を軽減しようとサービス利用を控えると、報酬単価の引き下げ等により財政基盤が弱体化している事業体の経営を直撃し、労働者の賃金・労働条件の悪化や非正規雇用化がさらに加速する悪循環に陥ることになります。また、地域生活支援事業については市町村の判断に委ねられ、介護等給付などのような義務的経費ではないので、市町村への働きかけが弱まると、これまで以上に自治体間の格差が拡大する恐れもあります。その一方で、未曾有の広がりを見せた応益負担導入反対運動を背景に、市町村に向けた要求運動が展開され、各事業体においても多様な取り組みが始まっています。このような先進的な取り組みの中から、障害者自立支援法の影響や、今後に向けての新たな課題を明らかにしていけるようにします。 ■コーディネーター 鈴木 勉さん(佛教大学教授) ■コメンテーター 峰島 厚さん(立命館大学教授) ★基調報告 「障害者自立支援法と障害者の人権」峰島 厚さん(立命館大学教授) ★報告テーマ・報告者 「福祉のまち吹田をめざして ―障害者自立支援法に対する障害者(団体)のとりくみ―」 鈴木英夫さん(社会福祉法人さつき福祉会常務理事) 「京都における応益負担反対運動の経験から」 井上吉郎さん(NPO法人福祉広場専務理事) 「『買う福祉』は利用者・家族に何をもたらすか」 中内福成さん(大阪障連協代表幹事・NPO法人大阪障害者センター理事長) 「精神障害者の生活不安と自立支援法―『病院から地域へ』は可能か―」 山本耕平さん(大阪体育大学助教授) 「障害者自立支援法と子どもの療育−児童デイサービスの現状から−」 田村一美さん(児童デイサービス・パーチェ施設長) |
第4分科会 *子どもたちの生きる力 【ねらい】 社会状況が目まぐるしく変化する中、人々の生活様式も多様化し、子どもたちの置かれている環境も変化しています。家庭の養育機能の向上促進は勿論大切ですが、同時に子どもたちが生活している現実の空間をトータルな形で豊かにしていくことが、今求められています。 子どもたちの現状にしっかりと向き合い、受け止めた上で、何ができているのか、何がこれからできるのかを考えていかなければなりません。そのことを考える出発点となるのは、その存在ゆえに大切にされる「人権」、つまり「子どもの権利」です。子どもたちには、本来「生きる力」が備わっています。その力に子ども自身も、そしておとなも気づき、誰もが「わたしらしく」生きていくことができるような社会づくりを目指すためにも、地域ですでに行われている実践に学びながら、これからの子どもたちの生活を考えます。 ■コーディネーター 垣内国光さん(明星大学教授) ★報告テーマ・報告者 「子育てを通して子ども・親双方の人権を考える」 工藤充子さん(NPO法人ほっとスペースゆう理事長) 「子育て支援と発達障害相談」 岡崎達也さん(京都市児童福祉センター発達相談所発達相談課) 「保育・療育の現場から〜様変わりする親の生活と子どもたち」 上田裕子さん(洛西保育園園長) 「次世代育成支援行動計画と子どもの権利 −大阪府内各自治体の行動計画を読み取って−」 畑 千鶴乃さん(奈良女子大学大学院 博士後期課程) |
第5分科会 *住民協働の地域づくり 【ねらい】 福祉分野に限らず、住みよいまちづくりのために住民やその他の関係者が協働している事例を通して、協働のあり方、計画化のあり方について考えてみたいと思います。 ■コメンテーター 津止正敏さん(立命館大学産業社会学部教授) ★報告テーマ・報告者 「NPOの横断的・総合的な地域づくりの取り組み」 井上公子さん(フォーラムひこばえ事務局長) 「行政がコーディネート役となったまちづくりの取り組み」 上原智子さん(京都市都市計画課担当係長) 「社協がコーディネート役となった福祉のまちづくりの取り組み」 盛武 希さん(京都市中京区社会福祉協議会主任) |
第6分科会 *社会福祉構造改革と福祉労働 ―今、あらためて福祉労働のあり方を問う― 【ねらい】 措置制度から利用契約制度への移行により、制度の仕組みそのものが「社会福祉のしごと」を外側から歪め、福祉施設・事業所の経営・運営方針にも「効率性」「採算性」が優先される傾向も一部に生まれています。「常勤換算方式」の導入は、非常勤職員の配置や短時間雇用労働者の増加により情報や課題の共有化が困難となり現場実践への新たな混乱を招いています。こうした現行制度の下で福祉施設・機関の内部で福祉労働の水準を維持するための様々な努力がなされています。本分科会では、現行制度の不備からくる制約などを具体的に明らかにし、福祉労働の本来の姿を対置することにより、今日的な福祉現場の問題状況を克服する方向性について議論を深めます。 ■コーディネーター 武元 勲さん(同朋大学社会福祉学部社会福祉学科教授) ★報告テーマ・報告者 「介護保険見直しとホームヘルプ労働の専門性」 森永伊紀さん(ホームヘルパー全国連絡会事務局長) 「福祉労働の専門性と現実〜障害者施設における業務調査から〜」 田中智子さん(大阪健康福祉短期大学) 「東京における民間保育者の労働実態と専門性についての調査から」 横井美保子さん(東京都社会福祉協議会保育士会保育士) 「北九州市における生活保護行政の問題点とその背景」 藤藪貴治さん(北九州市職員労働組合) |
第7分科会 *ジェンダーから考える家族をめぐる諸問題 ―子育て・介護・暴力への地域的対応の可能性― 【ねらい】 これまで家庭の中に潜在化し、周囲からも認識されることの少なかった児童虐待、ドメスティックバイオレンス、高齢者虐待等々の問題は、法整備が進むに従って誰の目にも明らかになり、その報告件数も増加の一途をたどっています。いわば「新しい社会福祉課題」であるこうした諸問題は、個別領域の専門職において対応するべき問題としてだけでなく、コミュニティの崩壊・不在における家族をめぐる地域福祉課題としてとらえ直すべきです。また、実際にドメスティックバイオレンスや介護問題等の担い手・被害者の多くが女性であるとしても、問題発生の根底にジェンダーバイアスが存在することを考えれば、単に「女性福祉」としてくくるのでは不充分であり、男性も含めた家族の問題、地域の問題として考える視点の共有が必要となります。そこで、本分科会においては、子育て・介護・暴力等の家族をめぐる具体的諸問題について、ジェンダー視点から分析し、教育、保健、医療等の関連領域を含めた地域杜会全体の課題として共有する為の議論を展開したいと思います。 ■コーディネーター 山本八重子さん(東大阪市西福祉事務所 母子自立支援員) ■コメンテーター 中村強士さん(東海医療福祉専門学校講師) ★報告テーマ・報告者 「シングルマザーの抱える諸問題〜子どもの立場から見えるもの〜」 土屋春葉さん(NPO法人 しんぐるまざあず・ふぉーらむ京都) 「子育てをめぐって〜シングルファーザーの抱える諸問題」 武 直樹さん(大阪市在住のシングルファーザー) 「ドメスティックバイオレンスの現状と課題」 丸山逸子さん(京都府婦人相談所 婦人相談員) 「家族介護をめぐる諸問題」 山添洋子さん(「認知症の人と家族の会」京都支部副代表) 「家族介護をめぐる諸問題」 田中聡子さん(南丹市社会福祉協議会園部支所・ほほえみ園部居宅介護支援事業所管理者) |
特別分科会 *社会福祉法人の役割と福祉経営 ※参加者200名規模の分科会です 【ねらい】 介護保険、障害者自立支援法を契機に社会福祉事業へNPO法人や営利企業の参入が進んでいます。そのなかでイコールフッティングを論拠に社会福祉法人に認められていた優遇措置や支援制度の撤廃を求める議論も出されてきましたが、現状では、利用者負担の社会福祉法人減免を要請することで、法人の特別扱いを維持することとなっています。しかし社会福祉法人改革をめぐる議論はこれで収まるとは思えません。今あらためて、民間社会福祉法人の歴史と伝統を生かし、今日にふさわしい社会福祉法人の役割とは何なのか、そもそも社会福祉事業とは何なのかという原点から検討を深める機会とします。 ■コーディネーター 豊田八郎さん(社会福祉施設経営者同友会事務局長) ★問題提起 「社会福祉法人のあり方検討会の中間報告(提言)について」 石倉康次さん(立命館大学教授) ★報告テーマ・報告者(テーマは全て仮題) 「老人福祉の動向と七野会がめざしているもの」 廣末利弥さん(京都・社会福祉法人七野会理事長) 「一法人一施設(保育所)の現状と課題」 能塚耐子さん(くりくま保育園園長) 「多業種運営法人 大阪福祉事業財団の歴史と現状・課題」 細貝大二郎さん(社会福祉法人大阪福祉事業財団常務理事) 「住民の福祉要求に応える法人事業の民主的な発展のために」 仲田伸輝さん(愛知・社会福祉法人名南子どもの家常務理事) 「精神障害者の政策動向と社会福祉法人の課題」 田中秀樹さん(和歌山・社会福祉法人一麦会理事長) 「政策動向と新規事業の展開」 正森克也さん(大阪・社会福祉法人こばと会法人事務局) 「障害者自立支援法と法人運営」 畑中美明さん(三重県・社会福祉法人聖母の家施設長) |
【フィールドワーク】 ■福祉と街歩きと京料理の欲ばりフィールドワーク <Aコース>上京区から北区コース(徒歩)※定員25名 内容:(1)七野会「グループホームはつね」「在宅ケアセンター新大宮」などの見学 (2)大徳寺、新大宮商店街、新町商店街のまち歩き (3)新大宮商店街のまちづくりなど <Bコース>上京区から中京区コース(徒歩)※定員25名 内容:(1)七野会小規模多機能施設「生活支援総合センター姉小路」見学 (2)「聚楽デイサービスセンター」「とねりこの家」見学 (3)上記見学のあいだあいだに京都の町並みを訪問 <Cコース>旧美山町コース(マイクロバス)※定員22名 内容:(1)七野会生活総合支援センター「美山こぶしの里」見学 (2)かやぶきの里(まち歩き) (3)旧美山町のまちづくり、町村合併で何が起こっているか ※フィールドワークは参加費とは別に、昼食代3,000円(Cコースはバス代を含む)が必要です。 ※A〜Cコースから選択してください。 ※定員になり次第申し込みを締め切ります。 |
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