福祉のひろば 2024年6月号商品コード:hiroba-202407
特集 能登半島地震 被災地からのレポート〈前編〉
元日に発生した能登半島地震から、五月一日で丸四か月が経過しました。しかし、いまなお四六〇〇人あまりが、各市町村に開設された一時避難所や、ホテル・旅館などの二次避難所で、避難生活を余儀なくされています。車中避難や在宅避難、農業用ビニールハウス内などで自主避難をされている人の数は把握されていないので、実際にはもっと多くの人々が避難生活を強いられています。
総合社会福祉研究所・福祉のひろばとつながりのある、被災地にお住まいの方にレポートを呼びかけたところ、ソーシャルワーカーの黒岡有子さんは、限界集落である地域の再建に力をいれるべきかという意見があることにも触れながら、やはり、「能登に帰りたい」という一人ひとりの願いに寄り添いたいと、思いを寄せてくださいました。
櫻庭葉子さんは、いしかわ総合スポーツセンターでの支援に入った際、大手介護企業のサブリーダーから、「(避難者を)甘やかさないでください」「居心地良くしないでください」と言われたことを紹介し、被災した人にまずは寄り添うのではなく、自立・自助を求めることの問題の深刻さを指摘しています。
一般社団法人Colaboの仁藤夢乃さんは、非常時の状況が何か月もつづき、つねに我慢を強いられるなかで、被災者のなかで「あきらめ感」がまん延していること、そうしたあきらめが主体的に行動する力を奪い、それは福祉の衰退につながることを指摘しています。
国や行政をあげて被災地に寄り添うことをしないまま、当然のニーズを“わがまま”とし、我慢とあきらめを強いる。「みんなたいへんなのだから」と個別支援を否定し、行政が決めた枠から外れた主体的な行動を自己責任として支援対象から外す。そうしたことの先にあるのは、まさに福祉の衰退であり、自治の崩壊だと思います。今号と次号の特集二回にわたって、一人ひとりのいのちと暮らしを守るために私たちができること、しなければいけないことを考えたいと思います。
【ひろばトーク】
子どもたちの将来を守るために必要なのは大人の成長 松下 祥貴
●特集● 能登半島地震 被災地からのレポート〈前編〉
「能登に帰りたい」に、ソーシャルワーカーとして
どう向き合うか 黒岡 有子
日常を取り戻すための支援を
──きょうされんの被災地支援から 塩田千恵子
大震災を経験して思うこと 本田 雄志
能登被災地の女性たちは今 仁藤 夢乃
1.5次避難所での支援活動から〈前編〉 櫻庭 葉子
〈投稿〉能登半島地震災害支援募金活動に参加して 松尾 喜生
●トピックス●
「権利としての福祉」を守り、大切にするなかまを増やしたい
──第1回全国版「ゆめかな」開催の目的とこれから
台湾における“原住民ソーシャルワーク” 黄 盈豪
障害がある人の人権を考える 藤井 克徳
●連載●
なかまと職員と家族と、ともに築く暮らしの場
自立までの道のりとこれから 永里よしみ
続・ヘルパー歳時記
「できる」が「したい」に。あたりまえの生活を取り戻す①
WORK WORK──わくワク──
廃棄食材をおかきでおいしく! アトリエ・ポルト
JОB&ACTION 全国福祉保育労働組合(39)
3・14 賃上げ・増員アクションで政府交渉を実施!
私の履歴書 社会福祉経営全国会議(39)
原点は共同保育所──認可運動で学んだこと 奥 正代
阿修羅がゆく わたしが好きな釜ヶ崎(59) 水野阿修羅
育つ風景
子どもが思うようにならないとき、「困る」ことの価値 清水 玲子
映画案内 『PLAN 75』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて 生田 武志
フィリピン・セブ島の貧困地域を訪ねる
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート
似顔絵で夢をかなえるのじゃ! ラッキー植松
ホームレスから日本を見れば ありむら潜
花咲け! 男やもめ 川口モトコ
*お知らせ* 第29回社会福祉研究交流集会in関東
みんなのポスト/福祉の動き/今月の本棚
●グラビア● 文化としての福祉の創造を