福祉のひろば 2024年3月号商品コード:hiroba-202403
特集 低出産・高齢化・貧困--日韓共通の課題を考える〈前編〉
日韓は、日本が植民地支配をした歴史があり、いまだ解決できていない問題がありながらも、さまざまな法律や制度、文化をお互いに交流・参考にしながら、歩んできました。そうしたこともあり、急速な低出産(少子化)、高齢化、貧困など、抱える社会課題も、似ていることが多々あります。
二〇二三年の日本の合計特殊出生率(出生率)は、一・二六と過去最低でした。出生数は七年連続で減少しています。いっぽう、韓国は、二〇〇三年に一・一九まで低下し、二〇二三年には〇・七八と過去最低を記録しています。両国とも、今後も出生率の低下はつづくと予想されています。
いっぽうで、韓国の最低賃金(全国単一)は、二〇〇三年の二二七五ウォンから二〇二三年には九六二〇ウォン(約一〇八〇円)まで上がりました。二〇年間で約四倍です。これは、国民が声を上げ、行動した結果です。韓国は、日本と比べてとくに若者の投票率が高く、一八~三九歳の投票率をみると、二〇二〇年の国会議員選挙では五八・六%(全体では六六・二%)、二〇二二年の大統領選挙では七〇・九%(全体では七七・一%)を記録しています。いっぽうの日本は、二〇二二年の衆議院議員通常選挙の投票率が、一〇代が三五・四%、二〇代が三四・〇%、三〇代が四四・八%でした(全体では五五・九%)。
大統領制をとる韓国は、政策の構想や立案段階で、大統領の意向が強く働きます。しかも再選不可の五年単位制のため、短期間で成果を出そうと思い切った政策立案が打ち出され、トップダウンでスピーディーに実行に移されるのが特徴です。とにかく実行に移して、「走りながら考える」スタイルで、この点は、なかなか変わらない、動かない日本との大きなちがいだと思います。
今回の合宿研究会では、同じ福祉や運動の現場で日々奮闘されているみなさんと、めざす社会のあり方や思い、願いを共感・共有しました。
【ひろばトーク】
関東大震災下の「ろう者」惨殺の史実を追って 藤井裕行
●特集● 第28回合宿研究会 in ソウル
低出産・高齢化・貧困──日韓共通の課題を考える〈前編〉
韓国の低出産とオリニチプの現状 チェ・ジュヨン
韓国青年労働の現実と課題 キム・ジヒョン
高齢者の暮らし・貧困と福祉サービス パク・ヨンスク
社会福祉館・障害者福祉館の理解と処遇改善のためのとりくみ
コン・サンギル
参加者の感想〜ソウル歴史博物館とシンポジウム〜
●トピックス●
韓国における福祉政策の展開 金 早雪
平和とは、恐怖や欠乏から解放されること 中島 素美
住まいの貧困を考える
~Ⅲ 困難を抱えた若者への支援と住まい①〜 藤原 望
●連載●
世界と交流する平和の船に乗ってみた! 根津眞澄+オット
最終回 過去の戦争、いまの戦争、未来の平和のために
WORK WORK──わくワク──
愛媛といえば「みきゃん」「こみきゃん」 どんまいクラブ
婦人保護運動のこれまでとこれから(最終回) 雪田 樹理
いくの学園の実践を振り返り、これからの女性支援のあり方を考える
ケア労働処遇改善キャンペーン!⑳ 正森 克也
「職員紹介会社」に関する実態調査アンケートから
JОB&ACTION 全国福祉保育労働組合(36)
24春闘 大幅賃上げ・増員 みんないっしょに声をあげよう!
私の履歴書 社会福祉経営全国会議(36)
素人なりに歩んだ40年 伊藤 一弥
阿修羅がゆく わたしが好きな釜ヶ崎(56) 水野阿修羅
相談室の窓から あらたな自分探しの機会 青木 道忠
育つ風景 保育の中での分かれ道 清水 玲子
映画案内 運び屋 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて
越冬する高齢女性たち 生田 武志
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート
似顔絵福笑い・正解編! ラッキー植松
ホームレスから日本を見れば ありむら潜
花咲け! 男やもめ 川口モトコ
みんなのポスト/福祉の動き/今月の本棚
●グラビア● 支配の歴史を反省し、心かよわせ合う未来へ