福祉のひろば 2023年1月号商品コード:hiroba-202301
特集 2023年の社会を展望して-浜矩子さんに聞く
経済政策の役割は弱者救済
新年号の特集は、経済学者である浜矩子さんのインタビューです。
浜さんは、「人間に固有の営みである経済活動は、人間をしあわせにできなければ意味がない」と言います。
なぜなら、経済活動はそもそも人間が生きるためにおこなわれるものだからです。
しかし、現代の経済活動は一部の人間しかしあわせにできていません。
一部の強者がゆたかさを謳歌し、そのいっぽうで自殺に追い込まれるほど苦しい生活を強いられる人を生むような経済活動は、本来あるべき経済活動ではないと、浜さんは指摘します。
そして、そうした経済活動の歪みを正すのが、経済政策の役割なのです。
経済学の生みの親と言われているアダム・スミスは、人のよろこびを我がよろこびとし、人の悲しみを我が悲しみとする人間がおこなうものであることを前提に、経済学を論じていると、浜さんは指摘します。
それはつまり、私たちが大切にしている、人に共感し、ともに悩みながらも、だれ一人取り残さずともに生きることを大切にする“ケアの価値観”が、本来は経済学の根底にもあるべきだということではないでしょうか。
経済活動と社会保障・福祉の充実は、決して対局にあるものでも、どちらかしか選択できないものでもなく、どちらもその目的は「人間をしあわせにする」ことにあります。
私たちがめざす、ケアの価値観を柱にした社会は決して特異ではないと、背中を押してもらった新年号のインタビューとなりました。(編集主任)
【ひろばトーク】
写真を通して「出会う」機会を築く 安田菜津
●特集● 2023年の社会を展望して──浜矩子さんに聞く
社会福祉現場の実態から 中岡 亘
経済政策の役割は弱者救済
“全体最適”ではなく“全員最適”へ 浜 矩子
●トピックス●
年賀広告
もっとグラビア 優生思想を許さない社会に
多重債務や滞納とその背景にあるもの 藤原 望
複数の常勤・専門職の配置を〈学童保育〉 高倉 弘士
一人ひとりが、できる範囲で、声をあげられる社会に 島本有紀子
【PHOTO】社会福祉法人さくらんぼの会
●連載●
WORK WORK──わくワク──
物語をテーマにしたカレンダー ひまわりパーク六本松
ケア労働処遇改善キャンペーン!⑥
介護職には公務員並みの待遇を 勝田登志子
夕映えのとき〜人生の終え方を支える実践〜 大橋由美子
失敗と成功、さまざまな経験を共有しながら、職員みんなで
座ることを考える
歴史や文化のなかで発展してきた椅子① 増澤 髙志
JОB&ACTION 全国福祉保育労働組合(22)
「福祉人材確保指針」を今後の運動に活かし、実効性ある対策の実現を
私の履歴書 社会福祉経営全国会議(22)
出会い、支え合いのなかで教育から福祉へ 八木 昭二
阿修羅がゆく わたしが好きな釜ヶ崎(42) 水野阿修羅
相談室の窓から 作業所のお休みが続くBさん① 青木 道忠
育つ風景 子どもがやってはいけないということをしたとき 清水 玲子
映画案内 『護られなかった者たちへ』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて 生田 武志
自己破産制度は生活再建のためのセーフティネットだ
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート
描きごたえのあるお顔じゃ? ラッキー植松
ホームレスから日本を見れば ありむら潜
花咲け! 男やもめ 川口モトコ
みんなのポスト/福祉の動き/今月の本棚
●グラビア● 優生保護法問題の全面解決を
#いのちを分けない社会へ