福祉のひろば 2022年7月号商品コード:hiroba-202207
ケア労働の質を保障する条件~ケアと優生思想から考える~
今号では、六月号にひきつづき、「ケア労働の質を支える条件」について考えたいと思います。先月号では、高齢、障害、児童、社会保障運動というそれぞれの現場の実態のなかから、その条件やヒントを探りました。今号では、そもそもケアとはなにか、なぜケアやそれを仕事とするケア労働の社会的評価がこれほどまで低く抑えられているのかについて、歴史をふり返りながら探ってみたいと思います。
特集のなかで、岡野八代さんは、ケアの現場には資本主義の範囲を超える、経済的な価格以上の価値があると指摘しています。藤井渉さんは、ケアの現場での気づきやそこで生み出される価値が、社会の矛盾に対抗し、社会を大きく変えていく力になると話されました。
「ケア」は社会を支える土台であり柱であると同時に、人間の可能性を引き出し発展させていくものです。そうしたケアの仕事をする人たちが評価され、大切にされ、いきいき仕事ができるということが、社会をつくっていくうえで不可欠だということを、国民的なコンセンサスにしていきたいという思いを込めて、前号と今号では、「ケア労働」という言葉を使いました。ケアや福祉、そして福祉労働やそこから生み出される価値が大切にされる社会をめざして、研究所や『福祉のひろば』としてすべきこと、できることを考えていきたいと思います。(編集主任)
【ひろばトーク】
女性たちがつなぐバトン 田中 智子
●特集● ケア労働の質を保障する条件〜ケアと優生思想から考える〜
女性や母親が抱える葛藤から生まれるケアのあたらしい地平線 岡野 八代
ケア労働にひそむ優生思想を考える 藤井 渉
討論:岡野八代×藤井渉
人とかかわり、人を大切にできる 山田須美子
人とのかかわり方を探究しつづけられる 内藤 壮祐
●トピックス●
【PHOTO】全国福祉保育労組大阪地方本部
【手記】重度障害者が新型コロナウイルス陽性になり、入院したら 中野 まこ
まだ間に合う! 大阪にカジノはいらん! 中山 直和
研究所を支えた豊田八郎さんを偲んで
第27回社会福祉研究交流集会in愛知のご案内
●連載●
WORK WORK──わくワク──
個性が輝くさをり織り 社会福祉法人みんなの会 第一みんなの家
ミリタンが実現するフランスの福祉
福祉を大切にする社会をつくるために 安發 明子
かさねあい、はぐくみあう保育実践
自分を認めてくれる保育園 副島 帆果
夕映えのとき〜人生の終え方を支える実践〜
「その人らしさを大切にする」ということ 渋谷 裕子
JОB&ACTION 全国福祉保育労働組合(16)
パワハラのない職場づくりへ 防止対策は事業者の義務に
私の履歴書 社会福祉経営全国会議(16)
いつの間にか福祉の世界へ 阿蘓 広志
阿修羅がゆく わたしが好きな釜ヶ崎(36) 水野阿修羅
相談室の窓から
自分の人生を模索し、切り開いていく若者たち 青木 道忠
育つ風景 清水 玲子
子どもたちがおひさまをたっぷり浴びて存分にあそぶ権利
ひととしてあたりまえに生きたい(最終回)
人としてあたりまえに生きられないことへの怒り 清田 廣
映画案内 『ドライブ・マイ・カー』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて
5年ぶりの「ホームレスの実態に関する全国調査」 生田 武志
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート
○と△じゃ! ラッキー植松
ホームレスから日本を見れば ありむら潜
花咲け! 男やもめ 川口モトコ
みんなのポスト/福祉の動き/今月の本棚
●グラビア● 「人としてあたりまえに生きたい」思いと運動をつぎの世代へ