福祉のひろば 2022年6月号商品コード:hiroba-202206
特集 現場から考える、ケア労働の質を保障する条件
ケア労働者の労働条件の改善を、どうすればケア労働者内の要求にとどまることなく、世論のコンセンサスを得て、社会の問題へと広げていくことができるだろうか。コロナ禍においてさらに福祉現場の実態がきびしくなるなかで、総合社会福祉研究所の理事会や本誌編集企画会議などでも、とりくむべきテーマとして議論されてきました。そこで、六月号と七月号では二回にわたって、異なる視点から「ケア労働の質を支える条件」について考えたいと思います。
まず今号では、高齢・障害・保育、そして社会保障運動の現場の報告から、「ケア労働の質を支える条件」について考えます。座談会のなかで、ホームヘルパーの藤原るかさんは、「ケアは社会の柱」だと表現してくださいました。第五回オンライン講座の概要を報告しているトピックスでは、水野阿修羅さんが、男性を兵士にするために意図的に子育てなどのケアから遠ざけ、感情に蓋をする“男らしさ”をつくってきた歴史があることを指摘しています。想像力や感情、感受性がゆたかだと、人は殺せないからです。人のいのちを奪う戦争とケアのゆたかさは、どれだけ武力行使を正当化しようとしても、どこまでいっても相容れないということです。勝ち負けではなく、力で相手をねじ伏せるのではなく、お互いを尊重し思いやるケアのゆたかさこそが社会を前進させることを、いまこそケアの現場から発信し、実践し、共感と実感を広げていく大切さをあらためて感じます。
読者のみなさんといっしょに、ケア労働のあり方を社会全体で考えるための糸口を探したいと思います。(編集主任)
【ひろばトーク】
保護者とともに運動をつくってきた歴史を大事にして 芳村 慶子
●特集● 現場から考える、ケア労働の質を保障する条件
【座談会】
参加者:上之薗康・小俣徹哉・川口遥野・藤原るか・是枝一成 司会:石倉康次
介護職の専門性構築に介護人材確保政策が及ぼす影響 石川 由美
●トピックス●
第27回社会福祉研究交流集会in愛知を開催します
【PHOTO】一般社団法人和音ねっと
京都市の拙速な「プール制」見直しを許さない! 中嶋 直子
露骨な医療費削減を目的とした2022年診療報酬改定の概要 吉見 賢治
「男らしさ」ってなに?──「男社会」釜ヶ崎から考える 水野阿修羅
●連載●
WORK WORK──わくワク──
新鮮な自家焙煎豆をお手元に届けたい NPO法人ふぁ〜ちぇ ぽらりす
ミリタンが実現するフランスの福祉
親をすることへの支援 安發 明子
かさねあい、はぐくみあう保育実践
やりたい保育が見つけられる保育園 平尾 恵美
夕映えのとき〜人生の終え方を支える実践〜
「最期までその方らしく」。利用者さん一人ひとりの歩みから教わること 佐藤 礼子
JОB&ACTION 全国福祉保育労働組合(15)
2月からの処遇改善事業は、ベースアップによる賃上げを求める
私の履歴書 社会福祉経営全国会議(15)
いつもみんなで力を合わせることを大切に、必要なものはみんなで創る! 浅雛みね子
阿修羅がゆく わたしが好きな釜ヶ崎(35) 水野阿修羅
相談室の窓から
誕生した自我の充実を支えるもの② 青木 道忠
育つ風景 子ども目線のメリハリ 清水 玲子
ひととしてあたりまえに生きたい
手話言語法の制定を求める 清田 廣
映画案内 『名もなき生涯』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて
永田豊隆の『妻はサバイバー』 生田 武志
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート
泣いて笑って銀メダルじゃ! ラッキー植松
ホームレスから日本を見れば ありむら潜
花咲け! 男やもめ 川口モトコ
みんなのポスト/福祉の動き /今月の本棚
●グラビア● 第5回「大震災から学ぶ」陸前高田学校