福祉のひろば 2022年2月号商品コード:hiroba-202202
特集 在日外国人と福祉──排外主義に対抗しつづける
昨年三月、スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(33歳)が、名古屋市にある入管施設で収容中に亡くなるという事件が起きました。一月中旬頃から体調不良を訴え、嘔吐や衰弱などの症状があったにも関わらず、適切な医療を受けられないまま亡くなってしまいました。現在も十分な真相究明はなされず、遺族側は裁判の準備を進めています。同居していた男性からDVを受けており、収容当初は帰国を希望したものの、その男性から「帰国したら罰を与える」などと書かれた手紙が届き、“帰国”という選択も困難だったことがわかっています。日本で働き、生活する外国人が増加するなかで、外国人への差別、人権問題がきわめて深刻になっています。
『差別はたいてい悪意のない人がする』(キム・ジヘ著、尹怡景訳、二〇二一年、大月書店)のなかで著者は、「だれもが平等を望んでいるが、善良な心だけでは平等を実現することはできない。不平等な世界で『悪意なき差別主義者』にならないためには、慣れ親しんだ秩序の向こうの世界を想像しなければならない」と書いています。平等と同化はちがいます。同化を求めるのでもなく、排斥するのでもなく、違いを認め合い尊重し合いながら、だれも取り残さない社会をめざすために、「在日外国人と福祉」の問題を一緒に考えていけたらと思います。
【ひろばトーク】
すべての子どもたちが大切にされる世の中に 武藤 素明
●特集● 在日外国人と福祉──排外主義に対抗しつづける
日本にいる外国人の社会保障を考える 寺内 順子
人権保障を軸とした特定技能の支援のあり方を考える 坂西 卓郎
違いを認め合い、尊重し合える多文化共生を 田山 華栄
外国人を排斥しつづけてきた、日本の入国管理 草加 道常
在日コリアンの権利保障が外国人全体の権利保障につながる
宋 貞智
排外主義に抗い、人としての尊厳をまもる福祉専門職の役割
石川久仁子
●トピックス●
年賀広告
【PHOTO】ズームイン! 子育てふれあい広場
●連載●
WORK WORK──わくワク──
ジャムが咲かせる「無花果の花」 社会福祉法人ふたかみ福祉会はびきの園
ミリタンが実現するフランスの福祉
移民は国の将来をつくる構成員の一人 安發 明子
かさねあい、はぐくみあう保育実践 大塚 亜侑美
子どもも職員も主体となって、キラキラ輝ける保育園へ
夕映えのとき~人生の終え方を支える実践~
一つひとつの“たのしい”“うれしい”によりそえる支援を 不破 久美
JОB&ACTION 全国福祉保育労働組合(11)
「9000円では足りません!」本気の処遇改善を求める22春闘
私の履歴書 社会福祉経営全国会議(11)
自分らしく生きる権利としての福祉の実現を願って 増田 百代
阿修羅がゆく わたしが好きな釜ヶ崎(31) 水野阿修羅
相談室の窓から
「ふつう」という縛りから解放を① 青木 道忠
育つ風景 清水 玲子
子どもが自分のやりたい気持ちと素直に向き合うときを共に過ごす喜び
ひととしてあたりまえに生きたい
施設建設委員長として(6) 清田 廣
映画案内 『ウエスト・サイド物語』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて コロナ不況下での自殺相談 生田 武志
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート
似ても似んでも――じゃ ラッキー植松
ホームレスから日本を見れば ありむら潜
花咲け! 男やもめ 川口モトコ
みんなのポスト/福祉の動き/今月の本棚
●グラビア● 外国人の生活と就労を支えるシェアハウス「みんなのいえ」