福祉のひろば 2021年10月号商品コード:hiroba-202110
特集 ジェンダーから考える貧困と福祉
ジェンダーとは、生物学的な性別に対して、社会的・文化的につくられる性別のことを指します。LGBTQ(レズビアン・女性同性愛者、ゲイ・男性同性愛者、バイセクシュアル・両性愛者、トランスジェンダー・性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人、クイア・性的少数者を表す総称のひとつ)という言葉や、女性が受けてきたセクハラや性的暴行を公表し、世の中を変えていこうとする「#Me Too」運動が世界的な広がりを見せるなかで、ジェンダーの問題は、あらゆる分野・場面で議論されることが増えています。
私自身、四歳と二歳の娘を育てるなかで、ジェンダーについて考えさせられることがたくさんあります。娘の言動の背景には、少なからず、「女の子はピンクが好きなものなんでしょ」「女の子はカワイイのが正解なんでしょ」という、無意識に社会や大人の期待を鏡のように反映している部分があるのではないかと感じます。娘はいまのところ、そうした社会が押し付ける期待と自分の好みに、あまり差を感じていないようですが、疑問を感じ、傷ついたり悩んだりする子もたくさんいると思います。
性別ではなく、一人ひとりのありのままを受け止め、向き合い、尊重することがなにより大切です。同時に、私たち大人一人ひとりのなかに無意識に内面化されているジェンダー観に気づき、疑問をもったり、問いかけなおしてみることが、貧困の問題や、福祉労働への評価や、その先にあるだれもが自由に、公平に、しあわせに生きられる社会をめざすために、大切な一歩になるのではないでしょうか。 (編集主任)
【ひろばトーク】
アフターコロナにむけて、組合活動のすそ野を広げる 土田 昭一
●特集● ジェンダーから考える貧困と福祉
10年たっても抜け出せないDVの苦しみ 高橋 恵子
男性も当事者としてジェンダーフリーをめざすために 福岡 明恵
男も家事・育児・介護をするために 富田 秀信
親の介護で人生終わるのか?!
──母の機能回復を目の当たりにして── 小原 悟
圧倒的にケアワークの価値が低い日本 丸山 里美
●トピックス●
二進法で福祉は捉えられない! 藤永のぶよ・桑原一章
──デジタル庁創設が福祉にあたえる影響を考える
現場レポート・コロナ禍における食料支援 藤原 望
高齢者医療改革のどこが問題か? 長友 薫輝
【PHOTO】ズームイン!
いずみ野福祉会デイセンターせんなん
●連載●
WORK WORK──わくワク── きつつき共同作業所
「きょうされんふきん」を作りつづけて38年
ミリタンが実現するフランスの福祉 安發 明子
子どもの貧困対策は「女性の経済的自立」を支えること
かさねあい、はぐくみあう保育実践
阿保らしさ~それぞれの色合いを重ねて~ 副島 帆果
夕映えのとき~人生の終え方を支える実践~
“少しの満足”を共有したい 枝松敦史・野代愛美
JОB&ACTION 全国福祉保育労働組合(7)
地域の福祉労働者とともに「社会的制度や基準の確立と改善」をめざす!
私の履歴書 社会福祉経営全国会議(7)
男たちは、憲法と運動で保育者になった 藤井 修
阿修羅がゆく わたしが好きな釜ヶ崎(27) 水野阿修羅
相談室の窓から 若者たちを傷つけるもの 青木 道忠
育つ風景 子どもの涙に教えられる 清水 玲子
ひととしてあたりまえに生きたい
施設建設委員長として(2) 清田 廣
映画案内 『赤ひげ』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて 生田 武志
DaiGo のユーチューブでの生活保護、野宿者に対する差別発言
似らすとれーしょん道場 金メダル兄弟じゃ! ラッキー植松
ホームレスから日本をみれば ありむら潜
花咲け! 男やもめ 川口モトコ
みんなのポスト/福祉の動き/今月の本棚
●グラビア● 車いすがまちに出られる社会をつくりたい