福祉のひろば 2020年12月号商品コード:hiroba-202012
”国民感情”はどこからくるのか?
――生活保護裁判・名古屋地裁判決から考える
厚生労働省が二〇一三年から実施した生活保護費の大幅な引き下げの撤回を求めて、全国で一〇〇〇人を超える生活保護利用者が国などを訴えている集団訴訟で、全国の先駆けとなる判決公判が、六月二五日に名古屋地裁でありました。名古屋地裁の裁判長は、生活保護基準の引き下げは厚生労働大臣の「裁量権の範囲内」であるとして、原告の訴えをすべて棄却しました。
名古屋地裁の判決は、生活保護基準の引き下げは与党である自民党の公約であり、選挙で自民党が与党となっているということは、つまり生活保護基準の引き下げは“国民感情”にもとづくものであり、違法性はないと判断をくだしています。「与党が言っているのだから正しい」というのは、憲法と法律に則って判断する裁判所の役割を、放棄していると言わざるを得ません。
(編集主任)
【ひろばトーク】
ろう役者が活躍できる世界をめざして 藤田菜々
●特集● “国民感情”はどこからくるのか──
生活保護裁判・名古屋地裁判決から考える
憲法と生活保護法の趣旨を無視した引き下げは許されない 和田 信也
1人ひとりが実感をもって「生活保護は権利」と主張できるために 大口耕吉郎
現場で感じる分断と攻撃の負のスパイラル 宮地 絵美
【討論】つくられた"国民感情"に惑わされないために
財源はある。国民のしあわせになりたい思いを政治へ 唐鎌 直義
●サブ特集●コロナ禍・コロナ以後の教育研修のあり方を考える
【座談会】 司会:鴻上圭太
遠藤佳代子/豊浦晶子/林陽二郎/中尾朱里・齋藤佳代子
●トピックス●
【PHOTO】コロナ禍でも、工夫してがんばってます☆
障害者生活施設での新型コロナウイルス集団感染を経験して【後篇】 園部 泰由
地域生活を支えることと感染予防のはざまで 服部 裕美
日本学術会議会員候補の総理大臣による任命拒否についての声明
●連載●
WORK WORK──わくワク──
一口食べたら思わず「うふふ」・ NPO法人さざんか
検証! 介護保険20年
第3回 認知症ケアにみる介護保険 杉原久仁子・鈴木森夫
かさねあい、はぐくみあう保育実践
子どもの「できた!」をいちばん近くでよろこべる 大塚亜侑実
阿修羅がゆく わたしが好きな釜ヶ崎(17) 水野阿修羅
相談室の窓から
ふんばりつづける現場に感謝と敬意を 青木 道忠
育つ風景 保護者とともにすすむと決意した保育園 清水 玲子
ひととしてあたりまえに生きたい
大阪ろうあ会館事務局長として(7) 清田 廣
映画案内 『凪待ち』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて 生田 武志
貧困と野宿を描きあげたクヌート・ハムスンの『飢え』
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート
顔のないところに顔があってもいいじゃないか! ラッキー植松
ホームレスから日本をみれば ありむら潜
花咲け! 男やもめ 川口モトコ
みんなのポスト/福祉の動き /今月の本棚
●グラビア● 「なにわの台所」をおそったコロナ