福祉のひろば2019年9月号商品コード:hiroba-201909
●特集● 福祉を 家族責任にすりかえるな そして家族とはなにか
“家族”をつくることは、「自分が自分の人生をしあわせに生きたい」と思ったときの、ひとつの大きな選択肢です。
経済的な保障や老後の介護のために結婚するという人もいますが、本来、“家族”は一緒になりたい、大切にしたいと思える人とつくるものだと思います。
大切な存在だから何かあったときには助けてあげたい、自分が介護をしてあげたい、と思うことは自然ですが、「助け合う」ことが家族の義務になることには、違和感があります。
家族は大切な存在だから助け合わなければならない、という自民党の改憲案は、いっけん「そうだよね」と納得してしまいそうになります。
しかし、「助け合う」ことが家族の負担になったり、あるべき家族のかたちが変わっていくことは、本末転倒です。
そしていちばんの問題は、自民党が言う助け合いの背景に、本来国が保障すべき社会保障を家族にすりかえる意図があることです。
憲法一三条には、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とあります。
まずは、個人がしあわせに生きる権利がいちばんに尊重されなければいけません。
そのうえで、個人が“家族”をつくることを望むのであれば、国が家族を尊重し、「助け」なければいけないはずです。
それは、国が家族に「助け合い」を強制することではありません。(編集主任 申 佳弥)
【ひろばトーク】
「家族のあり方」を考える
【外国の目から見たニッポンの家族】 サンドラ・へフェリン
フィンランド人から見た日本の家族観・夫婦観 ハッカライネン・ニーナ
“好きだよ”と言えるくらしの土台が必要 上田 孝
子どもに真剣に向き合いながら築いてきた家族 千田 勝夫・絹枝
山田洋次監督が描く“家族”から考える 吉村 英夫
【座談会】社会福祉と家族を考える
仙田富久/浅野美子/小早川弘江/丹波史紀
家族が家族らしくあるために 筒井 淳也
●トピックス●
[遺品整理会社を取材して]
終の諸相 遺品整理をとおしてみえてくる死 増田 裕次
ミニチュア製作をとおして孤独死の現場を伝える 小島 美羽
孤独死と社会的孤立を考える 藤原 望
孤独死現場のミニチュア製作者を取材して 新井 康友
利用者の権利を守る福祉事業体の発展に向けて
●連載●
阿修羅がゆく
わたしが好きな釜ヶ崎(2) 水野阿修羅
相談室の窓から
子どものころから見守ってきたK子さんとS男さん(1) 青木 道忠
育つ風景 いま学校は 清水 玲子
ひととしてあたりまえに生きたい
革新府政の誕生と大阪ろうあ会館の設立 清田 廣
映画案内
『米軍が最も恐れた男カメジロー不屈の生涯』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて
移民をとりまく差別と貧困を考える──改定入管法の課題から 生田 武志
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート
お子さまはお子さまらしく! ラッキー植松
ホームレスから日本をみれば ありむら潜
花咲け! 男やもめ 川口モトコ
みんなのポスト/福祉の動き/今月の本棚 /
●グラビア● ミニチュアを通して孤独死の実態を伝える(遺品整理クリーンサービスのオフィスにて)