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総合社会福祉研究 第19号 (2001年10月)商品コード:kiyou-019

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特集 障害者地域支援システムのあり方の検討-支援費支給制度移行のもとで-
(2001年10月 刊行)

『総合社会福祉研究』19号のすすめ
(特集)障害者地域支援システムのあり方検討-支援費支給制度移行のもとで-(総合社会福祉研究所所報第68号掲載)

昨年10月に刊行した研究紀要『総合社会福祉研究』第19号は、好評のなか順調に普及がすすんでいます。
この号は2003年度からの実施がすすめられている障害者福祉に関する「支援費支給制度」=「利用契約制度」に焦点をあてています。ここに掲載された論稿(巻頭論文以外)は、総合社会福祉研究所とNPO法人「大阪障害者センター」が提携してすすめてきている「地域支援システム研究会」(座長・瀧澤仁唱桃山学院大学教授)における調査・研究をふまえ、同研究会メンバーにより執筆されたたものです。
特集の内容は同誌の「編集後記」によると「本特集は、政府の出した『支援費支給制度』の問題点・課題を単に検討するだけに終わらせず、障害者・家族の暮らしや願いに着目した『地域支援システム』をどう確立していくかという点に力点を置いた。」とされています。
この点では、この制度改変の重大性にも関わらず、あまり系統だった解説、検討が民主陣営の側から行われていない現状のなかで、類書を見ないものとなっています。事実、新聞紙上などの広告を見て注文をされてくる電話でも、「他にこのような本が出ていないので」言う人も多く見受けられます。
巻頭の相沢與一氏(高崎健康福祉大学教授)の論文は「社会保障構造改革路線による市場原理主義的社会保障『改革』がどこまで展開されてきているのか、その到達点について、国際動向と日本との相違点ふれて」(「編集後記」より)おり、極めて水準の高い論文となっています。
特集外の論稿では、寄稿された論文、「社会福祉の『基礎構造改革』と公的責任-行政責任の問題をめぐって」(秋元美世東洋大学教授)、「自然災害と個人補償-阪神・淡路大震災と鳥取県西部地震の教訓は何か」(出口俊一兵庫県震災復興研究センター事務局長)、「ホームヘルパー養成研修事業の問題点と課題」(杉山博昭長崎純心大学助教授)の三本は、何れも理論的にも、実践的にも興味、関心の高いものとなっています。また、「海外福祉情報」として「フランスにおける社会的後見制度」(大曽根寛愛知県立大学教授)と「オランダ・モデルとパート革命-雇用拡大と時短による構造改革」(角橋徹也氏・都市計画家)のふたつを取り上げており、いずれも関心をひく内容です。
未購読の会員のみなさんはご自身も是非一冊購入されるとともにすでに手にされているみなさんには、研究所内外に普及いただき、この紀要を通じて研究所の紹介を広げ、会員の獲得にもつなげていただくようお願いします。

今月の本棚(福祉のひろば2002年2月号掲載)
蜃気楼? オアシス? 生活支援費支給制度
『総合社会福祉研究 第19号』
特集・障害者地域生活支援システムのあり方の検討
[評者]松田 泰●広島市安佐南区社会福祉協議会事務局長・福祉を守る市民会議事務局長
総合社会福祉研究所
2001年10月
B5判146頁・本体2000円
なにやらクーデターをも想起させる「措置制度」の破壊と「支援費支給」制度の施行。制度の実施まで一年少しの今に至っても、いっこうに詳細な姿が示されないこの「変革」は、どうやら政策化した人たちの間にも明確な展望がもたれていないようです。
「障害者の自己決定が尊重される」「利用者と施設・事業者が直接かつ対等の関係に立つ」と強調されるにしては、その前提となる装置や仕組みがあまりにも貧弱であることは、厚生労働省のみなさんがいちばん気づいておられるところです。最近の施設関係者の会合でよく見かける「市町村障害者支援事業に、ぜひ手を挙げて!」といった担当官の呼びかけや、障害福祉専門官の漏らす「福祉サービス利用援助事業」不振への不興は、そのあたりの展望のなさ、蜃気楼的な地域生活支援制度の姿を象徴しているともいえます。
ともあれ、二〇〇三年四月からは実施が決まっている生活支援費支給制度を、はすっぱに構えて冷笑しているだけでは混乱を相乗することにしかなりません。そんな混乱でいちばん難儀な目に遭うのは、障害をもつ仲間たちやその家族だということは分かりきったことです。
『総合社会福祉研究 第19号』には、そんな折りだけに見逃せない特集が組まれています。
支援費支給制度の含む問題点を、厚生労働省の示したQ&Aに即して丁寧に説き起こした石倉康次氏の小論「障害福祉分野の『支援費支給』制度への転換の意味と課題」は、全国の関係者にぜひ一読いただきたいと思いました。支援費制度のもつ問題点を九点にわたって分析し、その上で「支援費支給方式に転換されるにあたって、考慮されるべき基本的視点」として示された五つのポイントは、今後の取り組み課題としてじっくり読みふかめたいものです。
また「障害概念の見直しをめぐる国際的動向と我が国の認定制度の問題点」を論じた瀧澤仁唱氏の労作も「障害程度区分」認定に絡めて、大変関心をもって読ませていただきました。我が国の障害認定が解剖学または統計学の範疇から抜け出せていないのに比して、一九八〇年国際障害分類を経て二〇〇一年ICFに至る国際社会の障害認識は、今こそ大切に学んでおかなくてはならないでしょう。
植田章氏は、利用契約に不可欠な相談・援助の部分を氏の専門分野である「方法論」からアプローチされておられます(「知的障害者の生活支援とアセスメント」)。このような実践現場で集積・検証された技法のきちんとした位置づけが支援費支給制度のなかでどこまでおこなわれるのか、今後の動向を見きわめていく必要があります。
ほかにも「重度障害児者の家庭での介護支援についての実態調査」予備調査の結果から、重度知的障害者の家族の社会からの孤立状況を明らかにしている山本敏貢氏(「重度知的障害者とその家族を孤立させない地域支援を」)。市場原理主義の歴史的動向とその流れに乗った社会保障・社会福祉「改革」を両断する相澤與一氏(「市場原理主義的な社会保障・社会福祉『改革』政策の展開と到達」)も、生活支援費制度への転換の意味を読みとる上で、ぜひ多くの関係者の間で共有していきたい視点だと感じました。
制度実施まであまり時間もありません。このまま放置しておいたら、介護保険で生じている大きな矛盾を、公費からの支給であるだけにさらに大きくして制度開始に至ってしまうことが危惧されます。
介護保険制度では位置づけられたケアマネジャー(それ自体たいへんな問題を抱えてはいましたが)も想定されていないなかで、誰がサービス利用の相談・援助にあたるのか。また、支援費支給からはずれたサービスや精神障害の仲間たちの支援の将来は、など大きな問題を抱えての制度発足です。
ぜひ、この特集に眼を通し、残り少ない時間にきちんとした視点をもった取り組みを展開し、全国的な成果を得ていきたいものです。

特集◎障害者地域支援システムのあり方の検討 -支援費支給制度移行のもとで-

《特集》市場原理主義的な社会保障・社会福祉「改革」政策の展開と到達 相澤 與一
障害福祉分野の「支援費支給」制度への転換の意味と課題 石倉 康次
障害概念の見直しをめぐる国際的動向と我が国の認定制度の問題点 瀧澤 仁唱
重度知的障害とその家族を孤立させない地域支援を
-『重度障害者児の家庭での介護支援についての実態調査』予備調査から 山本 敏貢
知的障害者の生活支援とアセスメント-実践現場からの取り組みを通して 植田 章
《論文》社会福祉の「基礎構造改革」と公的責任-行政責任の問題をめぐって 秋元 美世
自然災害と個人補償-阪神・淡路大震災と鳥取県西部地震の教訓は何か 出口 俊一
ホームヘルパー養成研修事業の問題点と課題 杉山 博昭
《海外福祉情報》フランスにおける社会的後見 大曽根 寛
オランダ・モデルとパート革命-雇用拡大と時短による構造改革 角橋 徹也
《書評》中西浩之・篠崎次男・石川満著『介護保険と住民運動』(新日本出版社)から学んだこと 加藤 孝夫
目黒依子他編『少子化時代のジェンダーと母親意識』(新曜社) 江畠 祥子
《投稿論文》保育所保育料の利用者負担の実態と保育料政策 -名古屋市保育料負担実態調査を中心に 中村 強士

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