福祉のひろば 2024年12月号商品コード:hiroba-202412
特集 社会保険の「社会」の意味を問う
社会保険制度とは、国家が運営主体となっている強制加入の保険制度です。社会保障の一つとして位置づけられ、日本では、医療保険、年金制度、介護保険、雇用保険、労災保険(労働者災害補償保険)があります。国保は医療保険のひとつです。これらの制度はすべて、この国で安心して暮らし、働き、望めば子どもを生み育てることができ、高齢期も安心して過ごす権利を保障するためにあります。だからこそ、国家の責任で公的制度として位置づけられています。
しかし、すべての人の権利を保障するためにあるはずの社会保険制度から排除されている人たちがいます。どういった人たちが排除され、権利を侵害されているのか、なぜそうした事態がまん延しているのかについて土屋俊明さん(フリーランスユニオン)にお話をうかがいました。また、長友薫輝さん(佛教大学)からは、マイナ保険証の推進が、皆保険体制の充実ではなく、むしろ皆保険体制を崩す危険性をはらんでいることを指摘していただきました。
国保問題やフリーランスの人たちが置かれている実態からは、国は社会保険の「社会」のもつ意味を希薄にし、賃金と同じく人々の健康と暮らしを守る車の両輪としての役割を切り崩し、“副業”などを煽ることで公的責任の後退と自己責任の強調をさらに推し進めようとする意図が見えます。そもそもの社会保険の「社会」の意味をあらためて問うことで、その課題と可能性を考えます。
【ひろばトーク】
子どもとの関わりのなかで生まれる活動 村井 琢哉
●特集● 社会保険の「社会」の意味を問う
社会保険制度の成り立ちと歴史 唐鎌 直義
国保加入者における若者・被用者の実態 宇野 力
大学非常勤講師を苦しめる社会保険の問題 江尻 彰
従業員vsフリーランスの分断を越えて、権利の保障を
土屋 俊明
分断を乗り越え、働く人みんなの権利をまもろう 土田 昭一
皆保険体制の充実にはつながらないマイナ保険証推進
長友 薫輝
●トピックス●
もっとグラビア 中島佳代子
現地建て替えへの思い~歴史をつないでいきたい~
沈黙に寄り添うということ 中嶋 宇月
ガザ、ヨルダン川西岸からの最新ルポ
憲法9条の輸出で戦争を止めよう! 西谷 文和
震災から13年を経て、これからの地域を考える 丹波 史紀
●連載●
なかまと職員と家族と、ともに築く暮らしの場
息子の第二の人生と成長を見届けられた 澤浦フデ子
続・ヘルパー歳時記
正解を求めず、そのときの心地よさを大切にしたい①
WORK WORK──わくワク──
仲間中心製法でつくる絶品焼き菓子 フィロスあけぼの
JОB&ACTION 全国福祉保育労働組合(45)
京都市の児童館・学童保育事業における公的責任を追及する
私の履歴書 社会福祉経営全国会議(45)
障害者自立支援法がもたらした今 川本 義弘
阿修羅がゆく わたしが好きな釜ヶ崎(65) 水野阿修羅
育つ風景 「ほめる」を考える 清水 玲子
映画案内 『ゴジラ -1.0』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて 生田 武志
沖縄の貧困地域と戦争跡を訪ねる(その2)
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート
国の顔はバランスが大切じゃ ラッキー植松
ホームレスから日本を見れば ありむら潜
花咲け! 男やもめ 川口モトコ
みんなのポスト/福祉の動き/今月の本棚
●グラビア● 45年の感謝とこれからの願いを乗せて
~東桃谷幼児の園・園舎お別れ会~