福祉のひろば 2022年5月号商品コード:hiroba-202205
特集 子どもの尊厳を保障するということ
毎年「子ども」にかかわる特集にとりくんでいる五月号。今年は、「子どもの尊厳を保障するということ」をテーマに、特集1として、児童養護施設二葉学園の卒園児・在園児・職員さんのお話を、特集2として、「こどもを核としたまちづくり」で全国から注目をあつめている兵庫県明石市の泉市長のお話を紹介します。
今号の連載「ミリタンが実現するフランスの福祉」で筆者の安發さんは、「フランスでは子どもの育ちについて、『自分を知り』『自分の人生を築く』という表現がよくされる」と紹介しています。安發さんの連載にはいつもハッとさせられますが、今号も、この言葉がずっと胸に残っています。
自分を知り、自分の人生を築く。大人や社会は、子どもが自分を知り、自分の人生を築けることをサポートする。それはまさに、「子どもの尊厳を保障する」ということではないでしょうか。「自分を知る」ということは、自問自答していればできることではありません。人とのコミュニケーションやたくさんの経験、さまざまなことを自分の意思で選択できる日々を重ねることで、自分の好きなこと、得意なこと、苦手なこと、やってみたいことが見えてくるはずです。
そのためには、大人や社会にゆとりも不可欠です。子育てをしていていつも思いますが、自分に余裕があるときは、「あなたはどうしたい? どれがいい?」と娘の意思を尊重できますが、自分に余裕がないときは、「こうしなさい。これにしなさい」と強制したり、コントロールしようとしてしまいます。大人がゆとりをもつためには、経済的な安心や相談できる人がいる安心、福祉職においては、一人ひとりと向き合い寄り添える仕事のゆとりが不可欠です。自分の意思や選択、尊厳が保障されたという子どものころの経験は、障害のある人、お年寄り、すべての人の尊厳を保障することに、かならずつながると思います。
【ひろばトーク】高齢者福祉の仕事によろこびと希望を 井上ひろみ
●特集● 子どもの尊厳を保障するということ
子どもを守るために、親を守り支えられる社会に 大澤 優紀
選択のきっかけや機会を増やしてほしい 嶋坂 倫成
何気ない時間が信頼関係を育む 髙木 春花
【明石市長 泉房穂さんインタビュー】
こどもを核としたまちづくりが、みんなをしあわせにする
ねがいが実感に──インタビューをおえて── 丹波 史紀
●トピックス●
【PHOTO】社会福祉法人野のちから
これではまるでペテン! 岸田政権の「介護職員賃金改善」 日下部雅喜
障害事業所の実態に早急に対応を!
2か月で150名が感染、7000万円の損失
第5回陸前高田学校のご案内
第35回社会科学・社会福祉基礎講座のご案内
●連載●
WORK WORK──わくワク──
地域密着 手づくりのタッピ—クッキー さっぽろひかり福祉会光ファクトリー
ミリタンが実現するフランスの福祉
若者が自分の人生を築くことができる社会 安發 明子
かさねあい、はぐくみあう保育実践
話すって大事! 話したくなる職員関係を! 古川 佳那
夕映えのとき〜人生の終え方を支える実践〜
「地域の中で手をつなぎあうケア」の可能性を見つけるために
山村多恵子・久國 康子
JОB&ACTION 全国福祉保育労働組合(14)
なくせワンオペ!〜グループホームの夜間体制問題〜
私の履歴書 社会福祉経営全国会議(14)
いま、「共同」することをさらに 岸 清江
阿修羅がゆく わたしが好きな釜ヶ崎(34) 水野阿修羅
相談室の窓から
誕生した自我の充実を支えるもの① 青木 道忠
育つ風景
言うことを聞かない子どもが教えてくれたこと 清水 玲子
ひととしてあたりまえに生きたい
施設建設委員長として(9) 清田 廣
映画案内 『八重子のハミング』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて あいりん総合センターでの4人の路上死 生田 武志
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート
超美人は超むずかしいのじゃ!② ラッキー植松
ホームレスから日本を見れば ありむら潜
花咲け! 男やもめ 川口モトコ
みんなのポスト/福祉の動き/今月の本棚
●グラビア● 障害者グループホームで感染拡大
なかまと職員のいのちとくらしを守るために、早急な対応を!