福祉のひろば2019年12月号商品コード:hiroba-201912
特集 “ひきこもり”とその支援をみつめて社会のあり方を問う
“ひきこもり”は、海外でも「Hikikomori」と日本語で紹介されるなど、これまで日本特有の問題だと考えられてきました。しかし近年、ひきこもりは日本だけの問題ではなく、欧州や韓国などの先進国をはじめ、発展途上国でも社会問題になりつつあると言われています。
より視野を広げると、ひきこもりは社会的孤立のひとつの状態と捉えられます。二〇一八年にはイギリスで孤独担当大臣が新設されるなど、孤立・孤独が社会問題になっています。ひきこもりや社会的孤立が世界的に増えているという現実は、それだけ“生きにくい社会”が世界的に広がっているということではないでしょうか。
いまの日本のひきこもり支援は、就労自立が大きなキーワードになっています。もちろん、生きがいややりがいを感じ、ともに生きる仲間を得て、自らが望む生き方の糧となる就労であれば、それはひとつのゴールになり得ると思います。しかし、とくにひきこもり状態にある人たちがめざすべきとされる“就労”は、そうした位置づけになっているのでしょうか。
今号の特集では、ひきこもりの当事者と支援者にご参加いただき、ひきこもりを考える研究会を開催しました。“ひきこもり”の問題を考えるとき、その当事者や家族の支援と同時に、いまの教育のあり方、就労のあり方、社会のあり方についても考えざるを得ないことが浮き彫りになったと思います。(編集主任)
【ひろばトーク】
踏まれても踏まれても、跳ね返す力を 森 茂輝
●特集● “ひきこもり”とその支援をみつめて社会のあり方を問う
スタートは生きる“意欲”をもつこと 泉 翔
問題は個人ではなく社会のしくみにある 鈴見咲君高
一人ひとりの困りごとに向き合い、可能性に目を向ける 藤原 望
委託事業の運営にたずさわるなかで感じるむずかしさ 石田 泰二
【討論】泉/鈴見咲/藤原/石田/申/加美
「8050問題」と社会福祉の課題 山本 耕平
●トピックス●
【PHOTO】地域福祉まつり
塗りかえられている戦争の記録と記憶(その2) 塩見 一弥
台風19号・豪雨災害レポート
第24回合宿研究会のご案内
二度目の宮古島市 そこには こんな歴史もあった 下野 祇園
「特定処遇改善加算」に関する声明を出しました 堤 昭子
●連載●
阿修羅がゆく わたしが好きな釜ヶ崎(5) 水野阿修羅
相談室の窓から M子さんの“心のしんどさ”(2) 青木 道忠
育つ風景 こんなにせつない“おかあさん、大好き” 清水 玲子
ひととしてあたりまえに生きたい 歯科技工士を辞めてろうあ運動一本へ 清田 廣
映画案内 『空飛ぶタイヤ』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて 台東区の避難所での野宿者排除と繰り返されるヘイトスピーチ 生田 武志
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート ブームに乗っかるのじゃ~! ラッキー植松
ホームレスから日本をみれば ありむら潜
花咲け! 男やもめ 川口モトコ
みんなのポスト/福祉の動き/今月の本棚
●グラビア● 回復者の声を社会に伝える 回復の祭典
──第4回リカバリーパレードin横浜