福祉のひろば 2017年5月号商品コード:hiroba-201705
特集
子どもの貧困、陸前高田学校によせて
◆『福祉のひろば』と子どもの貧困
『福祉のひろば』が、子どもの貧困問題を本格的に取り扱ったのは二〇〇八年一〇月号でした。そのタイトルは、〈「子どもの貧困」に向き合って──容認できない子ども時代の不平等、不公正の実態と解消のために──〉でした。
当時、山梨立正光生園園長だった山田勝美さんは、施設で暮らす子どもたちの「あてのなさ」を問いかけました。子どもが大学進学を希望しても、国の制度として認められていない。加えて、高校を卒業して家庭復帰できなければ、基本的に施設には入れない。就職して、一八歳の段階で、どの程度将来を確信して選択できているのだろうか。将来を迷える時間と場が充分に保障されていないのである。(抜粋)
確かに、進学や施設入所の延長は一部認められてきました。しかし、制度が柔軟になったからといって、子どもたちの現実が生やさしいものでないことは変わりありません。多くは、施設という常に見守りのあった生活から、自立という名の「自己責任」の社会に、帆の上げ方も舵の取り方も、大人社会での生き方や関わり方を知らずに、船出するのです。施設の職員たちも、不安を抱えながら、「いつでも相談しにおいでや」と声をかけながらも、目の前にいる子どもたちにその目線を戻していくのです。
今号の特集では、「子どもの貧困」というテーマと、「第二回陸前高田学校」の概要を取り上げました。戸羽太市長は講演で「震災の教訓を踏まえ、私たちは集え、人として生きる包摂のまちをつくりたい」と語られました。社会のなかで生きる、暮らす場の存在と、その場を維持し、専門的にサポートする人々の存在は子どもの貧困においても震災復興においても、共通の課題であり、震災から六年、子どもの貧困問題を大きく取り上げて一〇年近くなりますが、それらは今も求められ続けています。(編集主幹)
【ひろばトーク】
創造する確かな力を育てる 柿田 雅子
●特集● 子どもの貧困
子どもの貧困、陸前高田学校によせて
踏まれた草にも花が咲く
子どもの貧困対策の未来~子ども食堂をこえて~
──生野子育ち社会化研究会がシンポジウムを開催──
憲法記念日とこどもの日を迎えるにあたって
──児童養護問題から「容認できない子ども時代の不平等、
不公正の実態と解消のために」を考えます── 黒田 孝彦
●特集● 陸前高田学校
第2回陸前高田学校日程
写真で見る陸前高田
陸前高田市の復興の取り組み
災害公営住宅はいま~下和野団地、中田団地~
後継者を育てながら津波被害を語り継ぐ 實吉 義正
東日本大震災から丸6年
──進まぬ復興、それでも心に抱く希望── 戸羽 太
現場からみえてくる陸前高田の現状と課題
――障害者の相談支援活動をとおして―― 近江 雅喜
〈飯舘村視察〉村に戻っても安心して暮らせない 佐藤 八郎
参加者の感想
●トピックス●
第23回社会福祉研究交流集会in東海(お知らせ)
フィールドワークでめぐった一部を紹介! 第4回釜ヶ崎のまち短期留学
~小川政亮先生に聞く~
日本社会事業学校の誕生から大学化を振り返る
◆ひろば読者会◆岩手県久慈市 この地に26名の読者がいます!
●連載●
施設から子どもたちの未来をきりひらく
こどもたちの巣立ちを大切にしたい 吉岡美佐穂
相談室の窓から G君の気になる行動(3)
自閉症の人の特質への理解と配慮を 青木 道忠
育つ風景 認証保育園と出会って 清水 玲子
「助けて!」って言ってもええねんで!
子どもの貧困対策の未来~子ども食堂をこえて~ 徳丸ゆき子
全盲夫婦の出会いから 二人三脚のあゆみ 千田勝夫・絹枝
二人の出会いから結婚へ(5)
映画案内 『殿、利息でござる!』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて 生田 武志
木村友祐『野良ビトたちの燃え上がる肖像』─野良猫と野宿者の共闘
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート
有名人を描くのじゃ!~その2~ ラッキー植松
ホームレスから日本を見れば ありむら潜
花咲け!男やもめ 川口モトコ
みんなのポスト/福祉の動き/今月の本棚
●グラビア●
第2回陸前高田学校