福祉のひろば 2016年9月号商品コード:hiroba-201609
特集 地方は生きている! その営みと暮らしからさぐる
国の歴史を贋造する国家が、地方の伝統や文化、そこで生きつづける人々の気持ちに、本当に向き合えるとは考えられない。
言い過ぎだろうか? 一極集中や都市と地方との格差(私は差別ではないかとさえ思っている)は、拡がるばかり。
効率や経済優先の新自由主義社会の構造的なしくみではないか。
今特集では、岡山県の奈義町と徳島県三好市の奥祖谷(落合集落等)の取材をもとに考えることにしました。
日本創生会議の増田レポートでは、二〇四〇年までに全国一七九九市区町村のうち半数の八九六市区町村が消滅する可能性がある、というショッキングな数値を打ち出しました。
しかし、過疎のなかには、実際に人口増加に転じた自治体があること。こうした主体的なとりくみが、今後増えることも指摘されています。地方創生は、規制緩和によってあらたな経済主体がビジネスチャンスを拡大することを意味しており、決して地域経済を現に担っている既存の中小企業や農家、協同組合の投資力を高めるところに焦点を当てていません。
だからこそ、「再生」という言葉を使わずに、ゼロからの出発を意味する「創生」という言葉をあえて使っていると、京都大学教授の岡田知弘氏は指摘しています。
奈義町、三好市の奥祖谷地域の挑戦や積み重ねは、特殊なものではありません。その地域に、住民に、自然に向き合ったとりくみと思えます。(編集主幹)
●表紙の絵
神門やす子
【ひろばトーク】
これからの障害福祉を支えていくために、法人として 磯部光孝
●特集 地方は生きている! その営みと暮らしからさぐる
子どもと大人が世代をこえて出会い、ふれあえるまち──奈義町概要
みんなの未来が育つ場所に──なぎチャイルドホームを拠点に自主保育に挑戦
自然のゆたかさをたっぷり享受したい ~奈義町に移住した延原さん家族に聞く~
ご無沙汰でスミマセン青春の思い出の地 奈義 今岡 清廣
小さいからこそできる、きめ細やかなまちづくり 千 恵蘭
2016京都社会福祉講座はじめます
●サブ特集● 秘境シリーズ(3)
四国山地祖谷(いや)谷(だに)で暮らす人々を訪ねる 黒田 孝彦
●トピックス●
戦争の足音は、障害者の排除から始まる
――ドイツT4作戦問題とは?── 西村 憲次
ラジオ『早川一光のばんざい人間』 放送1500回!
全国児童養護問題研究会 大阪大会開催 岡出 多申
月刊化200号記念を祝う会
グラビアの現場から
社会福祉情勢の特徴と研究所の事業活動は
●連載●
フォーラム 知的障害のある人の高齢期問題とは 植田 章
施設から子どもたちの未来をきりひらく 吉迫 宣俊
子どもたちの笑顔あふれる、ゆたかな生活をめざして
相談室の窓から 中年のひきこもり問題を考えたい(3) 青木 道忠
育つ風景 卒業生 清水 玲子
「助けて!」って言ってもええねんで!
教育でも福祉でもなく、人権として「食」を保障 徳丸ゆき子
全盲夫婦の出会いから 二人三脚のあゆみ 千田勝夫・絹枝
移動の自由をもとめて(6)――駅ホームは欄干のない橋・その4
映画案内 『6才のボクが、大人になるまで。』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて
天王寺動物園、通路を夜間封鎖へ── 生田 武志
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート
手は顔ほどにモノを言うのじゃ!! ラッキー植松
ホームレスから日本を見れば ありむら潜
花咲け!男やもめ 川口モトコ
みんなのポスト/福祉の動き/今月の本棚
●グラビア● ボルネオ島北部で、テング猿と木の葉猿に会いました。